DXとは①?単なるITサービスとの違い│デジタル

近年、日本ではDXという言葉をよく聞くようになりました。

DXとはデジタルトランスフォーメーションの略語で、直訳するとデジタル・変革となります。残念ながら、このDXという言葉は、実態的に定義が曖昧になっており、単なるITサービスのことをDXと表現したり、そもそも2018年に経済産業省が発表した「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」すら読まずに、DXを語る事業者もいる程です。

今回は、これから多くの日本企業が立ち向かうDXについて記事にしてみました。シリーズでお届けします。

目次

DXとは?

言葉の出処はスウェーデンの大学教授

DXという言葉は、日本では2018年から聞かれるようになっているはずです。しかし、言葉自体は2004年、スウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が論文で提唱したもので、以下のように定義されています。

<当初のDXの定義>

「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」

“Information Technology and the Good Life” 〜DXの論文

これは非常に簡潔に書かれた定義で、いわば論文の見出しのようなものです。当然ながら、原文となった論文には詳細かつ具体的にDXの意味・目的が書かれています。

なお、2004年といえば、日本では第2次小泉内閣の時代で、まだ現在のスマホすら発売されていません。
※iPhoneの日本上陸は2008年

その時代に定義されたDX論文では、すでに近年のIoTの概念が記されています

<部分抜粋>

「現実世界のあらゆるところに情報デバイスが浸透し現実世界はインテリジェントなものになる」「情報デバイスは個々に存在しているわけではなく、相互通信が行われており常に繋がっている世界になる」

情報デバイスが繋がっているということは、そこに必ずデータの通信が存在するはずです。単に繋がっていてもインテリジェンスな世界とはいえません。

DXという言葉が生まれた2004年時点で、すでにこのような世界が描かれていたわけです。これは、スマホすらない時代において驚くべき先見性と思います。

単なるITサービスとの違い

冒頭で書いたように、DXという言葉は定義が曖昧で、単なるITサービスのことをDXと表現する事業者もいますが、そのほとんどは、前述した「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という簡潔な定義のみをDXと理解してしまっていることが、原因でしょう。

ITの浸透、良い方向に変化させる、ことがDXであれば、「パソコンの活用」も「Excelを使いこなす」ことも、「スマホやタブレットを使う」ことすらDXになってしまいます。

世界中に広まったDXの論文が、そんな稚拙な内容であるはずがありません。これらは、今更、必要性が説かれる内容ではないのです。

DXという言葉は大学教授が高尚な論文で発表したわけですから、本来、定義はしっかりしていたはずです。これは私感ですが、本質を理解せず、簡潔な一文しか捉えることができない事業者が、こぞって自社のサービス・取り組み等にDXという言葉を用いたことが、定義を曖昧にした最大の原因でしょう。

DXの真髄はデータ活用

DXの真髄はデータ活用にあります。これが、単なるITサービスとの決定的な違いです。

データ活用とは何か、について説明します。わかり易い例として、Googleのインターネット検索を取り上げてみましょう。

Googleは、広告料で成り立っている企業であることは、ほとんどの方が知っていますが、このビジネスを維持するためには、ユーザーが満足する情報を常に提供し続けなければなりません

例えば、インターネット検索で調べ物をした際、欲しい情報が中々見つからず、何度も違うページを探しにいくといったサービスレベルでは、間違いなくユーザーは逃げてしまうでしょう。

そのため、Googleユーザーのインターネット上における行動を分析(滞在時間、クリック率など)しているのです。何というワードで検索し、どのページにアクセスしたのか。そのページの滞在時間。すべてをデータ化し、良質な情報を発信しているページを分析し、インターネット検索の上位に表示させる工夫を行っています。

これは、本当にスゴイことです。インターネット上に存在するすべてのページについて評価付けをし、実際のユーザーの行動を分析した結果を、常に検索エンジンに反映しているわけですから。

また、AmazonNetFlixSpotifyといったサービスにおいても、ユーザーの嗜好を徹底的にデータ化し分析しています。これは、単一のユーザーのみではなく、この商品(作品)を好むユーザーは、あの商品(作品)も好む傾向にある、といった統計データがなければ実現できないことです。

これらのデータが、個々のユーザーに表示されるレコメンド機能に反映されているわけです。

これは、データ量が多ければ多いほど精度が高まることは想像に難くないでしょう。データの活用とは、このような事例のことをいうのです。

繰り返しますが、単なるITサービスとは決定的に異なるのです。

経済産業省が発表したDXレポート

ここまでで説明したように、DXという言葉は2004年に生まれていますが、日本では2018年から聞かれるようになっています。この記事を読んでいる方も2017年以前には、聞いたことがなかったのではないでしょうか。

なぜ2018年なのか。について説明します。

2018年9月、経済産業省は「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート〜IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~」というレポートを発表しました。

このレポートが日本でDXという言葉が聞かれ始めたきっかけであることは間違いありません。DXレポートは、経済産業省のホームページで公開されていますので、DXを正しく理解されたい方は全文、読んでみましょう。
※図解にした「サマリー版」や「簡易版」もありますが、全体版の「本文」を読むことを強くオススメします。

57ページに及ぶDXレポートでは、日本企業に迫られる変革情報・データ活用の重要性が詳細に記されており、DXは企業にとって最重要な課題の一つであることとともに、変革を起こせない限りは、あらゆる産業の企業は競争力を失い存続の可否すら決すると明確に記されています。

DXレポートの背景

ここは非常に重要です。なぜ、経済産業省はDXレポートを発表し、日本企業にDXの重要性を説いたのでしょうか。これには、GAFAを筆頭とするユニコーン・デカコーン企業の存在が関連しています。

ユニコーン企業・デカコーン企業とは
ユニコーン企業とは「創業10年未満」「未上場」「企業評価額10億ドル以上」「テック系企業」の4つの要素を満たすスタートアップ企業のこと。
デカコーン企業とはユニコーン企業のうち、企業評価額が100億ドルを突破した企業のこと。

名称の由来
その企業の希少性から、ギリシャ神話に登場するユニコーン(一角獣)に例えられた。

GAFA(Google・Apple・Facebook・Amazonは、今やほとんどの国で知らない人はいないほど、有名な企業です。また、いずれのサービスも使ったことがない人の割合も少ないでしょう。

大切なのは、GAFAが起こしたイノベーションは、単に「生活を便利にした・楽しくした」というものではなく、様々な既存産業を破壊したことにあります。(詳細は次回記事)

つまり、日本の既存産業GAFAを筆頭とするユニコーン企業の誕生によって、あっという間に衰退することが現実的に起こっているのです。

日本企業がそれらに対抗し、国際競争力を取り戻し生き残るためには、DX、デジタルトランスフォーメーションの取り組みが不可欠なのです。

DXを阻害するレガシーシステム

実は、57ページに及ぶDXレポートで約4割を締めているテーマが、DXを阻害するとされているレガシーシステムです。

レガシーシステムとは、企業の中で「老朽化」「肥大化・複雑化」「ブラックボックス化」したシステムのことを指しており、保守や運用などが属人化され、またシステムの構成自体が旧世代に作成されていることから、新たな世代、つまり5GIoTの技術革新によって得られる膨大なデータに対応できず、DXの真髄であるデータの利活用が根本的に不可能なのです。

レガシーシステムが抱える大きな問題のひとつに、緊急性が低く潜在的というのがあります。まず、DXを見据えてシステムの総入れ替えを行うには大きな資金が必要になります。次に、長く企業内で使われてきたことから業務自体がレガシーシステムに依存してしまい、各部門との調整は困難なものになるでしょう。

一般に、システムの入れ替えには、予算立てから開発業者の選定、既存データの移行問題、旧システムと新システムの運用面での互換性など、ひと筋縄ではいかない課題ばかりです。

そして、そもそもが潜在的な問題(将来的に必要)という特徴が重なると、問題意識はあるものの、どうしても後回しになりがちで結局のところ、何年も現状を維持しレガシーシステムを使い続けてしまうのです。

当然、レガシーシステムからはDXの導入が創造できませんので、スタート地点に立つことすらできなくなってしまうのです。

一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)のアンケート調査によると、日本の企業の約8割レガシーシステムを抱えていると回答しています。

2025年の崖

次に、DXレポートの副題にもなっている2025年の崖について。複雑化・老朽化・ブラックボックス化したレガシーシステムがこのまま残存した場合、IT人材不足やサポート終了等のリスクによる経済損失は、2025年以降、最大12兆円/年になる可能性があることが示唆されています。

2025年とは、このままレガシーシステムの問題が放置された場合、レガシーシステムの稼働暦が21年を超える企業の割合が60%を超えると見込まれている年です。

5GIoTによって、爆発的に増加するデータを活用しきれずデジタル競争の敗者になるばかりか、技術的な負債を抱え業務基盤の維持・継承すら困難になることが懸念されています。

もちろんレガシーシステムの脱却に伴う新システムの構想は、DX化を見据えたデータ活用を念頭に置かなければなりません。ひとつの目安の年ではありますが、DXレポートでは2025年までに、このレガシーシステムに対応する必要があるとされています。

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

沖縄県でホームページ制作や店舗の集客サポートなど、小規模事業主のサポートを行っています。ホームページ制作については、月額2,580円の低価格でサービス提供していますので、ご関心のある方は、お問い合わせください。(全国対応)

目次
閉じる