2021年4月、文部科学省が推進するGIGAスクール構想が、当初の予定よりも前倒しでスタートしました。
小学生、中学生のお子さまがいらっしゃるご家庭では、すでに情報端末が児童・生徒1人に1台整備されたことをご存知でしょう。さて、これからどのような学校教育が行われるのか。
この記事では、GIGAスクール構想の意味と目的、そしてこれからの社会を担うべくデジタル世代の子どもたちへのデジタル学習について、考えてみます。
GIGAスクール構想とは?
<プログラミングの重要性>
今回のテーマはGIGAスクール構想とは?だ!
GIGAは、「Global and Innovation Gateway for All 」の頭文字を取った用語です。
GIGAってそういう意味だったのね!
要約すると「デジタル世代の子どもたちの能力を育成する教育改革」なのだ!
予定より早く整備された
当初、GIGAスクール構想の予定である児童・生徒への「1人1台の情報端末の整備」「学校施設への高速通信環境の整備」は、2023年度までに行われる計画でした。
ですが、2020年頃からの新型コロナの大流行によって、学校教育にも影響が生じたことから、計画は大幅に前倒しされ、なんと2021年3月時点で、全国の小中学校の96%で「1人1台の情報端末の整備」が実現しました。
これは、情報端末の整備とともに各校舎へのネットワーク環境の整備も併せた実現率のため、かなりのスピード感で進んだことが分かるでしょう。(約900万台の情報端末が整備されました)
ChromeBook 40% │ Windows 30% │ iOS 30%
GIGAスクール構想の意味
この章の頭で触れた通り、GIGAスクール構想のGIGAは「Global and Innovation Gateway for All 」の頭文字から成る用語です。
直訳すると、『グローバルで革新的な扉をすべての児童・生徒たちへ』という意味になりますね。
GIGAスクール構想は、これからのデジタル社会を生き、そして創り上げていく子どもたちに向けた教育改革なのです。
GIGAスクール構想の目的
Society 5.0時代を生きる子どもにとって、パソコンやタブレットなどの情報端末は鉛筆やノートと同じくらい大切という考えのもと、1人1台の情報端末が整備されました。
ただし、わたしはGIGAスクール構想に関する文部科学省の多くの資料を読み込みましたが、正直なところ、まだ目的は抽象的で具体的に定まっていない印象を受けました。
GIGAスクール構想が本格化する1年前に実施された「プログラミング学習の必須化」とも組み合わせた計画も感じ取れるのですが、まだ「プログラミング」に主眼を置いておらず、『情報端末の積極的な活用』にとどまっているようです。
日本のデジタル力を本気で向上させるためには、「プログラミング的思考」から始まる体系的な教育が必要なんだ!
GIGAスクール構想の現状
これは無理もないお話ですが、現在の小学校・中学校の先生方は、プログラミングなどの本格的なIT教育を受けた世代ではありません。
そして、日本が抱える「デジタルの遅れ」の重要課題に関しても何が問題なのか、おそらく分からないのです。教育を受けた訳でもなく、これまでは、デジタル・ITとは異なる分野でお仕事をされていた訳ですから。
せっかく大きな予算を投じて始めたGIGAスクール構想には、具体的な牽引者が必要でしょう。
これは、政治家ではなくビジネスの現場やその分野の著名人からアドバイスをしてもらうことが、最も合理的な対策と思います。
現状、『情報端末の積極的な活用』に留まっているのはこのような理由が考えられます。
突然、専門的な分野を義務教育に導入しても、教える側は「本質」が分からないのだ!
デジタル世代の子どもたち
一旦、義務教育のGIGAスクール構想から離れて考えてみよう!
以前の記事、「日本の国際競争力・時価総額」で説明したように、日本はデジタル・IT力で大きく遅れをとっており、実際に大きな影響を受けています。
現在の日本の国力で、GAFAに立ち向かうという目標は突飛であまりにも非現実的ですが、海外の新たなテック企業によって国内の既存産業が脆くも消滅する事態は避けなければなりませんので、日本の企業のデジタル活用も当然ですが、デジタル人材の育成には本気で取り組む必要に迫られています。
詳しい事情は上記3記事で説明していますが、義務教育に「プログラミング的思考」の学習を取り入れることと、突出した人材を枠に閉じ込めずに解放するなどの発想が求められます。
デジタル世代の子どもたちの教育は、これから工夫・アップデートされていくと思いますが、「プログラミング学習」の重要性は年々、高まっていきます。時代背景から考えると、この分野に「後退」はありません。
やっぱり「プログラミング学習」は必要なのね・・
AI、IoT、5G。次々と新しいテクノロジーが時代を変えていく!
今の子どもたちは、正にデジタル世代の子どもたちで、物凄いスピード感の変革を生き抜いていくことになるんだ!
令和6年に向け、小学生の教科書を紙からデジタルに変更するという案も進んでいますが、これは端的にいうと「利便性」の問題であり、やはり本質ではありません。サービスやテクノロジーの消費者(利用者)ではなく、新しい価値を生み出す開発者側、つまりイノベーターを育成する教育が求められていると、わたしは考えています。
補足
政治や教育問題を含めて、「批判的」な記事を書くのは、当サイトの望むところではありません。今回は、GIGAスクール構想について、独自の見解を記事にしました。