日本で小学生からプログラム教育が導入された理由のひとつに、日本の国際競争力の低迷とデジタル人材の圧倒的な不足という背景があります。
現代では、デジタル・ITの力が弱ければ、産業を守れないほどの状況となっており、日本もこれらの課題に真剣に取り組まなくてはなりません。
国際競争力の低迷
<プログラミングの重要性>
今回のテーマは国際競争力とデジタル人材不足だ!
国際競争力とは
国際競争力とは、スイスのIMD(国際経営開発研究所)という組織が発表している「世界競争力年鑑」にランキング形式で掲載される統計情報のことです。
1989年から調査が開始されており、2022年現在、64カ国が調査の対象となっています。
過去、日本は1989年から1992年まで総合1位を維持していたのだ!
競争力を評価する大分類
IMEの調査は、4つの大分類とその配下の小分類で評価される仕組みになっています。
4つの大分類
経済状況
政府効率性
ビジネス効率性
インフラ
日本の総合力は31位!(2021)
「世界競争力年鑑(2021年版)」によると、日本の競争力ランキングの総合順位は64カ国中31位で、以前、低迷を続けています。今からちょうど30年前は、総合1位であったことから考えると、大きくランキングが下がっていることが分かるはずです。
日本の強み
小分類単位で見ると、下記の項目については、10位以内を維持していますので、日本の強みといえます。
経済状況
国内経済(8位)、国際投資(9位)、雇用(2位)
インフラ
科学インフラ(8位)、健康・環境(9位)
日本の弱み
一方、最も競争力が低い大分類は『ビジネス効率性』となっており、何と64カ国中48位となっています。特に小分類「生産性・効率性」については、57位です。64カ国中、ワースト10にランクされるほど、日本は生産性・効率性が低い国なのです。
この結果には様々な要因があるものの、『デジタルへの乗り遅れ』が大きく関係していることは間違いありません。
デジタル力を高めることが喫緊の課題
日本の財政赤字や少子高齢化など、課題はたくさんあるものの、前節の日本の弱みである「デジタルの乗り遅れ」は、我が国最大級の課題です。(デジタルの乗り遅れで日本が受けた影響は、後日、別記事で紹介します)
2019年に経済産業省が発表した「通称〜DXレポート」も、プログラミング教育を小学校で必修化したのも、日本のデジタル力を高めるための施策なのです。
デジタルの力は、GAFAが瞬く間に世界を変えたことからも明らかなのだ!
2022/01/03更新
GAFAが日本の産業に与えた影響の記事を公開しました。
デジタル人材の圧倒的な不足
日本って競争力が低いのね・・
実感がなかったなぁ
そう!
そういう風に感じているヒトは多いのだ!
生活水準は高いし、みんなスマホ持ってるし・・
では、実感できる決定的な理由を説明しよう!
日本は「消費者」
1989年〜1991年、国際競争力で日本が1位を維持していた時代は、日本のエレクトロニクス産業は世界で圧倒的な地位を占めていました。
テレビやビデオデッキ、半導体が世界的に使われていて、世界市場のトップに君臨していました。
では、改めて現在の生活環境を見てみましょう。
日本国内においても、インターネットショッピングではAmazonがNo1のシェアを占めており、また、スマホ市場では国内産のスマホを使っているヒトはほとんどいません。
SNSは、Facebook・Instagram・Twitterを使い、テレビの視聴時間よりもYoutubeやインターネットの使用時間が多くなっています。(テレビ離れ)
そうです!それらの製品・サービスはすべて海外製で、日本は、完全に消費者側の国になっているのです。
日本の義務教育レベルは海外でも類を見ないほど高く、また、当たり前にパソコンやスマホを使いこなせているほど、ITリテラシーが高いにも関わらず、開発側ではなく消費者側なのです。
・・・確かにそうね
デジタル活用しなければ競争力は高まらない
日本はデジタル製品を使いこなすだけではなく、デジタルそのものを活用する力をつけなければなりません。
デジタルやテクノロジーを使う根源的なスキルは「プログラミング」です。AI、VR/AR、IoT、5G。すべてのデジタルテクノロジーは「プログラミング」によって実現するのです。
「プログラミングスキル」が重要なのは、そのような背景があるからなのです。
デジタル人材の圧倒的な不足
昨今、多くの経済ニュースで伝えられているように、すでに日本のデジタル人材は圧倒的に不足している状況です。
デジタル活用・イノベーションを強く推進しなければならない状況にも関わらず、肝心のデジタル人材が、どの企業でも不足しているのです。これからの日本のために、国策レベルでデジタル人材を育成しなければなりません。
数年後、数十年後を見据えた教育が必要なのだ!