2020年、GIGAスクールに先立ち小学校を含めた義務教育過程で「プログラミング教育」が含まれることになりました。
これは、国の義務教育および高等学校のカリキュラムの指針である「学習指導要領」において、正式に定められたものになります。プログラミングは、国の基本教育のひとつとして、本格的に学習する教科となりました。
この記事では、小学生のプログラミング必修化は具体的に何年生から始まるのか、そして学習の内容と背景、必修化後の学校教育の現状について、紹介します。
あわせて、実際に小学生で習うとされているプログラミングの実例をアニメーションで紹介します(貴重です)。
プログラミング必修化
う~ん・・
もうプログラミングって必修化されていると思うけど、何か実感が湧かないなぁ・
どうした?
あっ!ウェブズ隊長♡
わたしの子どもなんだけどね、今年(2021年)小学校に入学したんだけど、プログラミング必修化ってどうなっているのかな・・と思って。
プログラミング必修化は2020年に始まっているぞ!
そう思っていたんだけど、2学期の後半になっても、プログラミングの教科書が配られていないの。何年生から始まるのかなぁ。
よし!
今日は、小学生のプログラミング必修化について説明しよう!
必修化はいつから?何年生からなの?
この記事の冒頭でプログラミング必修化は2020年に開始されていると説明しましたが、具体的な開始時期は下記の通りです。
- 小学校・・・2020年
- 中学校・・・2021年
- 高等学校・・2022年
小学校
プログラミング教育は、小学校から導入することは決定していますが、具体的に指導要領に明記されている訳ではありません。
例示的に、算数、理科、総合学習の時間においてプログラミング学習の場面が例示されています。具体的には、小学5年生の算数で「多角形の作図」、6年生の理科で「電気の利用」が例示されています。
中学校
技術・家庭科(技術分野)で、「計測・制御のプログラミング」。そして「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミング」等の学習が必修化されています。
必修化といっても、必ず小学1年生から始まる訳ではないのね!
そして、プログラミング専用の教科書はないのね!
そうだ!小学生の段階は、指導要領に明記されていなくて、学校毎の判断で実施してもよいことになっているんだ!
学習指導要領の総則には、「情報機器を使った文字入力や、プログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付けるための学習を計画的に実施する」ことが明記されています。そのため、どの小学校においても、低学年から何らかの関連学習は実施されるはずです。
必修化の背景
プログラミングが小学校から必修化された背景には、現代ではあらゆる場面でプログラムが活用されており、将来、どの職業に就くとしても、プログラミングの知識は必要不可欠であることが理由とされています。
あわせて、日本の国際競争力の低迷などといったグローバルな課題も大きな理由と考えて間違いありません。これは、GIGAスクール構想の精神と一緒です。
プログラミング教育の内容
必修化のことは何となく分かったけど、どういう学習するのかイメージができないなぁ。論理的思考ってピンと来ないの。
よし!
では実際の「学習指導要領」に例示されている内容をお見せしよう!
具体的な内容
この章では、小学5年生の算数で取り入れられるプログラミング学習の例示を2つ、紹介します。どちらもプログラミングを使って多角形を描く例です。
プログラミングツールの例をイメージ図で紹介していますが、「🚩が押されたとき」の箇所については、プログラムの起動条件を示しています。あまり気にしなくてよいです。
プログラミングで三角形を作図
三角形を書く手順を、論理的に説明してみましょう!説明・・できます?
これはプログラミングを経験していないほとんどの方は説明できません。でも、説明すると「そういうこと!?」となります。プログラミングはそういうものです。
では、解答です。(正三角形の1辺は10cmとします)
- 10cmの直線を引く
- 線の方向を120度、傾ける
- 10cmの直線を引く
- 線の方向を120度、傾ける
- 10cmの直線を引く
上記の手順で1辺の長さが10cmの正三角形が完成します。下記は、今の手順をブロック型のプログラミングツールでプログラミングした例と、プログラミングを実行したときの動きです。
なお、プログラミングツールの関係上、10cmを100歩と表現しています。
プログラミングで六角形を作図
三角形の要領で、次は六角形を書く手順を説明してみましょう!今度は・・できますよね?
では、解答です。(正六角形の1辺は10cmとします)
- 10cmの直線を引く
- 線の方向を60度、傾ける
今回は、長いので省略しましょう!上記の①②の動作を計6回繰り返すと1辺の長さが10cmの正六角形が完成します。下記は、今の手順をブロック型のプログラミングツールでプログラミングした例と、プログラミングを実行したときの動きです。
なお、プログラミングツールの関係上、10cmを100歩と表現しています。
実は、六角形の手順で説明した「繰り返し」は、プログラミングの3つの基本構造のひとつだ!「繰り返し」は極めて大切な概念なのだ!!
2つの例で使用したプログラミングツールは、世界中のプログラミング学習で使われている『Scratch』という学習ツールです。『Scratch』は、ひとつのプログラミング言語として扱われるほど、プログラミングに特化したツールです。
日本の小学校のプログラミング学習でも使用されると思いますので、今後、当サイトでも『Scratch』に関する記事は多く発信する予定です。確実にプログラミングへの理解が高まります
なるほど!
プログラミングで三角形を書くってそういうことなのね!
そうだ!
プログラミングを知らないだけで、実際は小学校レベルなら誰でもできる日常的なものなんだ!
内容を独自に評価
小学生のプログラミング必修化について、わたしは文部科学省が公表している資料を読み込みましたが、「プログラミング的思考」の必要性を重視したよい方針と思います。
ただし、「プログラミング」の分野は、まだ一般的に教養レベルにまで浸透していませんので、教育カリキュラムもまだ具体的に描けていない印象です。
低学年から高学年にかけて、体系的に高い学習効果を生むようなカリキュラムの作成を、官民一体で創り上げていく必要があるでしょう。
ぜひ、テクノロジーと教育の分野に明るい人物にも参画してもらおう!
必修化後の学校の現状
学校教育の現状に関しては、2020年のプログラミング必修化、2021年のGIGAスクール構想ともに、これまでの小学校の基本教育とは異なる分野となりますので、プログラミング教育を受けていない先生方からすれば、何をどのように教えていけばよいのか、まだイメージが描けていない状態のようです。
「プログラミング必修化」「GIGAスクール構想」ともに、具体的なカリキュラムが規定されておらず、学校裁量とされている部分が多く見受けられることも一因でしょう。
あとがき
プログラミング必修化やGIGAスクール構想など、教育分野も目まぐるしく変化しています。
今回の記事では、小学校のプログラミング必修化の具体的な時期や背景、そして実際に例示されている学習内容などを、文部科学省の資料に基づき紹介しましたので、少しイメージができたのではないでしょうか。
当サイトは、世間的に実態以上に難しく捉えられているプログラミングを等身大に、そして日常的な学問であることを、ひとりでも多くの親に伝えることを目的にしています。
これからも、小学生のお子さまを持つ親向けに多くの情報を発信していきますので、時々、サイトをご覧いただければ幸いです。
今日はここまで!
今回の記事で参考にした文部科学省の資料です。
小学校プログラミング教育の手引(第三版) 令和2年2月:文部科学省