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PowerShellとコマンドプロンプトの違い│新世代のスクリプト言語

Windowsに標準搭載されCLIでさまざまなタスクを実行できるPowerShell。

コマンドで直接的にWindowsを高速操作するPowerShellは、管理や自動化を効率的に実行するポテンシャルを持っています。一方で、WindowsにはPowerShellに似たような機能が搭載されています。

PowerShell誕生以前から存在しているコマンドプロンプトです。

どちらもWindows上で動作するCUI方式のツールであり、一見すると違いが分からないかもしれません。でも、実際には、PowerShellとコマンドプロンプトには大きな違いがあります。

この記事では、PowerShellとコマンドプロンプトの違いについて、これまでのコマンドラインツールの遷移をも含めて、説明します。

Windowsのコマンドラインの歴史

この章では、Windowsに搭載されているコマンドラインの遷移と歴史について、振り返ります。現時点で最新のWindows11にも未だコマンドプロンプトは残っており、標準搭載のPowerShellと共存しています。

Windowsにはどのようなコマンドラインツールが存在し、どのような用途があったのか、説明します。

コマンドプロンプト

コマンドプロンプトは、Microsoftの過去のOSであるMS-DOSに由来するコマンドラインツールです。

Windows11のコマンドプロンプト

そもそもMS-DOS自体がGUIを持たないOSであったことから、ユーザーはコマンドを通じてパソコンを操作する必要がありました。つまり、コマンドプロンプトはMS-DOSにおける主要なユーザーインターフェースだったのです。

そして、Windows1.0のリリースによってGUI化したWindowsもMS-DOSを基盤としているため、コマンドプロンプトによる操作も継続されました。

マウスやキーボードでパソコンを操作するGUI環境においても、コマンドライン操作の必要性は、完全に絶えた訳ではなかったのです。

ただし、コマンドプロンプトはMS-DOSに由来していることから、ファイル管理やディレクトリ作成など、機能も限定的であり、システム管理や自動化に対して最適化されていません。

Windows Script Host

Windows Script Host(WSH)は、Windows 98から導入されたスクリプト言語環境です。WSHは、Windows上でVBScriptやJScriptといったスクリプト言語を使用してタスクを自動化することが可能です。

.vbsや.jsはWindows Script Hostで実行される

従来のコマンドプロンプトと比べ、くり返し発生する作業を効率化し、より複雑な管理タスクをプログラム的に実行できるようになりました。

WSHのスクリプトはテキストファイルとして保存され、.vbs.js といった拡張子で簡単に実行できます。

しかし、WSHの強力な自動化性能がマルウェアの拡散に利用されることもあり、セキュリティ上のリスクが問題となりました。

現在、MicrosoftはWindows Script Hostよりもセキュリティが強化され、より強力な機能を備えたPowerShellを推奨しています。

PowerShell

PowerShellは、2006年にMicrosoftによって導入されたコマンドラインシェル兼スクリプティング言語で、.NET Frameworkをベースに開発されました。従来のコマンドプロンプトやWindows Script Hostを大きく超える機能を備えており、Windowsのシステム管理と自動化にも活用できます。

Windows11のPowerShell

PowerShellは、オブジェクト指向を完全にサポートしているため、出力やデータはオブジェクトとして扱われ、スクリプト内でより複雑な操作が可能になります。

たとえば、ファイルシステム操作、アクセス許可の管理、ネットワークリソースの操作などが、直感的かつ簡単に実行できます。

さらに、PowerShellは拡張性が高く、カスタムモジュールやサードパーティのツールを容易に統合できます。システム管理者は自社のニーズに合わせて環境をカスタマイズできるようになりました。

PowerShellのもう一つの重要な特徴は、強力なスクリプティング能力です。複雑な条件分岐、ループ処理、エラーハンドリングを使って、自動化スクリプトを作成できます。また、WSHの提供するVBScriptやJScriptと比べて、堅牢性が高くセキュリティ対策も強化されています。

PowerShell 7として知られる最新バージョンでは、クロスプラットフォームのサポートも提供されており、WindowsだけでなくLinuxやmacOS上でも動作します。

PowerShellとコマンドプロンプトの違い 

この章では、PowerShellとコマンドプロンプトの違いについて説明します。前章で触れたように、PowerShellとコマンドプロンプトは、用途や存在理由も大きく異なるツールです。

PowerShell

GUI実装のWindowsで管理や自動化を実現するための新しいツール

コマンドプロンプト

MS-DOS時代のインターフェースの名残り

オブジェクト指向性

PowerShellは、.NET Framework上に構築されているため、オブジェクト指向の概念を完全にサポートしています。出力やデータはオブジェクトとして扱われ、プロパティやメソッドを通じて操作することが可能です。

たとえば、ファイルやユーザー情報など、システムリソースをオブジェクトとして扱い、その属性を簡単に抽出または変更できます。一方、コマンドプロンプトはテキストベースの出力が可能ですが、解析するためには追加のスクリプトやツールが必要です。

スクリプティング性能

PowerShellは高度なスクリプティング言語として設計されており、複雑な条件分岐、ループ処理、エラーハンドリングが可能です。管理者は繰り返し発生するタスクや複雑なデータ処理を効率的に自動化できます。

さらに、非同期処理やバックグラウンドタスクの管理もサポートしているため、より柔軟なスクリプトの実行が可能です。一方で、コマンドプロンプトは基本的なバッチスクリプトのサポートに限定されており、そのスクリプティング能力は非常に基本的なレベルにとどまります。

コマンドプロンプトは複雑な操作や管理タスクの自動化には適していません。

拡張性と互換性

PowerShellは拡張性が非常に高く、カスタムモジュールやサードパーティ製のツールを簡単に追加できます。たとえばアプリケーションやサービスの管理を効率化するための豊富な専用コマンドレットが利用できます。

また、.NET FrameworkのAPIにアクセスできるため、Windowsエコシステム内のほぼ全ての技術と連携することが可能です。

一方、コマンドプロンプトは互換性と拡張性に限界があり、主に既存のWindowsコマンドと基本的なスクリプティングに依存しています。そのため、新しい技術や複雑なシステム環境に対応するのは困難です。

PowerShellに期待されること

PowerShellは、強力な自動化と設定管理の機能を持っています。.NET Frameworkに基づいて開発されており、スクリプティングと自動化のための広範な機能を備え、複雑な管理タスクを簡素化することが可能です。

特に、自動化はPowerShellの最も重要な利点の一つであり、日常的なタスクを自動的に実行することで、時間とリソースを節約することができます。

ファイルの大量作成も瞬時に実行可能

また、PowerShellはセキュリティ管理においても優れたツールです。たとえば、詳細なログ記録機能を利用して、ユーザーの活動を正確に追跡することで、企業のコンプライアンスの推進にも活用できます。

このように、PowerShellはIT環境の効率化、セキュリティ強化、および運用コストの削減に大きく貢献しています。PowerShellは将来にわたっても、さらに機能を拡張し続けることが期待されており、テクノロジーが進化する中でその価値を高めることでしょう。

あとがき

今回は、PowerShellとコマンドプロンプトの違いについて記事にしました。

また、Windowsに搭載されたコマンドラインツールの遷移を確認することで、それぞれどのような役割で開発されたのかもご理解いただけたかと思います。

MS-DOSを操作するためのコマンドプロンプト。近年のWindowsの自動化や管理を効率化するためのPowerShell。

両ツールの見た目は類似していても、用途、存在理由の観点では、完全に別物のツールなのです。

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