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RPA導入の弊害はあるか?抑えておきたいリスクと対策を解説します – RPAの本質とプログラミング的思考
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RPA導入の弊害はあるか?抑えておきたいリスクと対策を解説します

業務自動化のテクノロジーRPA

RPAの導入を考えたとき、様々な期待を抱くものですが、一方で弊害リスクも存在します。これらはネガティブに捉えるものではなく、今後、RPAと共存するために認識しておくべきものであり、事前に認識することで効果的に対処することが可能になるのです。

この記事では、便宜上、弊害リスクを分けて説明しますが、それぞれの定義は下記の通りです。

弊害
メリットの裏に存在するデメリット。
構造上、どうしても発生するものであり、基本的に回避できないもの。

リスク
不確実性の脅威。
損害を与える可能性のあるもの。対策によって、回避や軽減が可能になる。

RPA導入の弊害

01_業務自動化に伴う業務ひっ迫

ある業務をRPA自動化するときには、その業務を徹底的に整理する必要があります。これは、人間が行ってきた業務をRPAに引き継ぐようなもので、一般的な人間と人間の引継ぎとは大きく異なります。

<一般的な人間から人間への引継ぎ>

<RPAの場合>

これは当然すぎるイメージですが、RPAの場合には処理の手順を逐一プログラミングする必要がありますので、業務を正確ロジカル書き起こさなければなりません。

RPAの導入に伴う業務の整理には、通常、結構な時間が必要です。これは産みの苦しみのようなもので、ある程度の期間と作業量を見込んで、継続的に取り組む覚悟がいるでしょう。

そして、わたしの経験上、RPAの導入に失敗するケースはこの工程で躓いている場合が大半です。

02_パソコンの占有

基本的に、RPAを実行している間、人間はそのパソコンを操作することができません

RPAは、高い業務時間の削減効果がありますが、実際には特定の社員のパソコンにRPAがインストールされていると、その社員はパソコンを使えない時間が生じるのです。(RPAを実行する時間です)

例えば、人間が1時間かけて行う事務作業をRPAが5分で済ませるとしても、その5分間はパソコンが使えないのです。

これは、社内の業務の自動化が進めば進むほど、弊害度合も大きくなる問題なのですが、ある程度の自動化が進んだ段階で、RPA専用のパソコンを導入することを検討しましょう。

他にも、一定の追加コストが生じる場合がほとんどですが、決まった時間にRPAが自動的に稼働するようなオプション機能等を付加することもよい対策のひとつです。(全員が退勤した夜間に実行する等です)

パソコンの占有の問題については、導入前にそれほど懸念する必要はないと思います。事務作業が人間よりも速くなることは事実であり、RPA化のメリットのほうがはるかに大きいからです。最悪、1台のパソコンを購入すれば解決する程度に捉えておきましょう。

03_RPA依存

RPAを活用した業務の自動化が実現すると、基本的に、その事務作業を人間がする必要はなくなります

そのため、その業務の手順を把握している人間も時間の経過とともに少なくなっていきます。良くも悪くも業務がRPAに依存するのです。

例えば、ある時点でその業務の一部を修正する必要が生じたとき、またはRPAに何らかの不具合が生じたときのことは、想定しておかなければなりません。

例えば、RPAを修正することができる人材の育成や外注先の確保、その他、万が一の際、人間がその業務を行えるための業務手順書の保管などが必要です。

RPA導入のリスク

01_停滞

RPAを導入した多くの会社で発生すると思われる停滞

これは、文字通り業務自動化を目的に導入したRPAを活用できずに、案件そのものが停滞する状態のことです。

前章01「業務自動化に伴う業務ひっ迫」にも関連するのですが、業務の整理というものはそれだけ難しいのです。代表的なケースは下記の通りです。

<停滞する代表的な理由>

  • 自動化を前提とした業務の整理方法が分からない
  • 一部、業務手順の変更が必要になったが、社内調整が進まない
  • 一旦、A業務の自動化に着手したもののいくつかの問題が発生し、自動化候補の業務自体の変更も検討したが、そこで停滞
  • RPAツールの操作方法に詰まってしまう

このような事態にならないためにも、RPA導入前にまずは自動化候補の業務の選定、業務の徹底した整理を行いましょう。それらが完了していない段階でRPAを導入しても、そもそも使いようがないのです。

これは例え、RPAによる業務自動化の開発を外部委託する場合でも同様です。自社の業務の詳細は、自社の社員しか分かりません。

RPAは、スモールスタートがよいと言われています。つまり、最初の自動化案件では大きな削減効果を狙わずに、難易度の低い小さな業務から着手するほうが良いという考え方です。わたしも、この考えに賛成です。

その他、RPA開発・販売会社がPRする「プログラミング知識は不要」「誰でもカンタンに自動化できます」といった過剰広告も大きな原因でしょう。このようなPRによって、業務の自動化が本来の姿よりも簡単に思えてしまい、必要な前準備を怠ってしまうのです。

02_費用面

RPAを導入しても、自動化のプログラムを外注するのであれば、それ相応の費用が発生します。自社で開発を行うのか、外部に委託する場合は、どの程度の費用が必要なのか。

これらは事前に調査して、把握しておいたほうがよいでしょう。

自動化したい業務が多いのは喜ばしいことですが、ある程度の費用感は持っておきましょう。

03_改修、トラブル

RPAで自動化した業務も、諸事情により業務手順の変更が必要になることは、十分に考えられます

例えば、新たな管理項目が必要になったり、社内のデータ利活用の推進や顧客要件の変更に伴う改修などです。改修が必要になった場合の担当者やトラブル発生時の対応手順は予め取り決めておきましょう。

特に、前章「03_RPA依存」と同様ですが、RPAのエラーによる業務停止については、大きなリスク要因です。

04_プログラミングに潜むリスク

RPAは、人間と違って「なんか変だぞ・・」や「ここの手順は間違っているな・・」といった判断はできません。

これは、どのプログラミングでもいえることですが、明らかに間違った処理であっても、プログラミングに基づき実行してしまいます。

RPAに移行する前の検証や並行運用は徹底して行う必要があります。複数人でRPA上のプログラミングを確認したり、一定の期間、人間の処理とRPAの処理を平行して行い、結果を比較検証することは必須です。

あとがき:考え過ぎは禁物

今回の記事では、RPA導入弊害リスクについて書きました。

弊害リスク対策を事前に抑えておくことは非常に重要ですが、とにかくRPAの案件は停滞しがちです。

わたしは、「わが社もデジタル活用を!RPAを導入しよう!」と意気込んで導入したにも関わらず、結局、活用が進んでいない会社を何社も見てきました。

とにかく「RPAは停滞しやすい案件」と認識し、時には強引に進めてしまうのも必要と思います。

自動化候補の業務選定や業務手順の変更などは、誰かが決めてしまえば済む問題であることも多いのです。重要なポイントを抑えたのであれば、活用に向けて一気に進めてしまいましょう。

アナログ業務(人間)デジタル業務(RPA)に変換するのは、簡単なことではありません。それこそ、人間の行動力が必要なのです。

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