実導入済み!RPAを活用した入金消込のすべて。概要と重要ポイント

RPAを活用して自動化したい業務の中で、特にご要望が多いのが「入金消込」の業務。

「入金消込」は、会社の人事系の業務と並び、多くの業種で必要かつ実施されている業務のひとつです。

「入金消込」の業務の自動化について、インターネットで検索しても、フロー構成に具体的に踏み込んで発信しているサイトは少ないかと思います。

今回の記事では、「入金消込」のRPAを実導入した経歴を持つ当サイトが、RPA化するにあたっての概要と重要ポイントを可能な範囲で具体的に説明します。

目次

入金消込業務の概要

今記事で取り上げる「入金消込」業務とは、日々、銀行のネットバンキングサービスにログインし、特定期間の入金情報をcsv等でダウンロードしたあと、入力・加工用のExcelシートに転記し、請求情報を管理しているシステムに入金実績の情報を反映させる業務です。

通常、会社では複数の銀行の口座を持っていますので、それぞれのネットバンキングサービスを経由して、入金情報を取得することになります。

また、銀行によっては入金情報をcsv形式以外で提供している場合もありますので、たとえばブラウザ上から入金情報をスクレイピングして取得することが求められる場合もあります。

それらを含めて、業務全体を整理し手順化することで、ネットバンキングからの入金情報ダウンロード(取得)、Excelへの転記・加工、請求を管理しているシステムへの消込まで、一連の入金消込業務をRPAで自動化することができます。

ただし、入金する際の振込情報の都合上、RPAで100%の消込を期待するのは非現実的でしょう。振込情報には、特有のキー情報が存在せず、一般に振込者の氏名と振込金額で一致させることになるためです。会社の規模が大きくなるほど、顧客の同姓同名の確率も高まりますので、最終確認は人で行うことを前提にしたほうがよいです。

RPA化の重要ポイント

入金消込の業務をRPA化するうえで、重要になるポイントは下記の通りです。

作業端末の固定化

通常、銀行が提供するインターネットバンキングは、パソコンに電子証明書がインストールされていることが必要で、社内のどの端末からも利用できるものではありません。

そのため、入金消込の一連の作業をRPAを使って自動化するのであれば、ネットバンキング用のパソコンにRPAがインストールされている必要があります。(場合によっては、リモートデスクトップを活用して別パソコンからも可能)

社内の別の業務の自動化も検討しているのであれば、RPAのライセンスを複数契約しない限り、今後、ネットバンキング用のパソコンで別の業務のRPAを制作・実行していくことになります。

この課題は、真っ先に検討しておいたほうがよいでしょう。

このような社内で調整が必要な課題は、RPA案件が暗礁に乗り上げる原因になります。業務を自動化する将来像を関係部署で共有して、上位職者も交えながら課題解決に取り組みましょう。

作業実行日の明確化

インターネットバンキングの入金情報をダウンロードする際には、開始日時と終了日時の期間指定が必要です。

たとえば、平日、毎日実行する環境で考えてみましょう。

作業実行日が火曜日であれば、入金情報は前日(月曜日)の分のみでよいのですが、作業実行日が月曜日の場合、金曜日~日曜日分と、3日分遡る必要があります。

また、祝日や年末年始の場合には、通常の平日扱いではなく、期間指定の範囲も変わってきます。

このように、会社の休日と合わせて、RPAで自動化したときの作業実行日を明確にしておく必要があります。

作業実行日の検討が不十分で、抜け漏れがある場合、実際には入金されているにも関わらず、会社の請求情報管理システムに反映されず、未納扱いになってしまうリスクがあります。

基本的に、プログラミングやRPAを扱うエンジニアは、このような条件指定の思考に長けています。現場の認識では抜け漏れがないか、例外的なリスクが潜んでいないか。常にインシデント(事故)を意識しながらフローを描いていますので、社内にエンジニア担当がいれば、協力してもらったほうが安心でしょう。

消込するためのキー情報

消込するためのキー情報とは、インターネットバンキングからダウンロードしたデータと、社内で請求を管理しているシステム間で、振込者と管理システムのレコードを紐づけるための情報のことです。

前述の通り、振込情報には個人を特定するための情報が少ないため、氏名情報が筆頭候補になるでしょう。

消込するための一致条件

入金消込業務のコアになる工程です。

入金情報のデータから振込者のカナ氏名を取得し、社内の請求管理システムで検索した結果、複数のレコードがヒットした場合、振込金額が一致した対象者が1人であれば消し込みしてよいのか。

または、カナ氏名検索で複数のレコードがヒットした時点で、RPAでは消込をせず、人間に任せてしまうのか。

ここは、効率性と正確性が問われる重要な工程です。実務担当者を交えながら、日々、どのような判断基準で消込作業を行っているのか、これまでに発生した例外的インシデントによるミスの有無等、充分に検討をして自動化の定義を作り上げていきましょう。

一般的には、自動化の基準を正確性重視で作り上げ、数か月間、RPA・人間の処理を並行して進めながら、効率性・正確性のバランスが取れた自動化を目指していきます。

RPA・人間の処理を並行して進めるとは、それぞれで行った処理の結果を照合しながら、数か月間かけて、RPAの処理結果の正確性を検証していきます。自動化をするうえで、よく行われる手法です。

ワークフロー(UiPath)

当記事用に入金消込業務のRPAを再制作中です。

完成次第、変数や設定箇所を交えてこの章で順次公開します。(紙面の都合上、ひとつひとつのアクティビティは紹介できません)

全体構成

①実行日判定

入金消込の業務は、多くの会社では平日は毎日、実行していると思います。入金消込をRPA化するうえで、まずは、実行日の判定を行う必要があります。

たとえば、火曜日に実行するのであれば、前日である月曜日の入金情報だけでよいのですが、月曜日に実行する場合、金曜日から日曜日と、3日分遡る必要があるためです。

イメージ:実行日が火曜日

イメージ:実行日が月曜日

実行時の曜日判定

最初の工程として、実行時の曜日を判定する処理を組みましょう。

変数

実行時の曜日判定で最低限使用する変数は下記の通りです。インターネットバンキングから入金情報をダウンロードする際、期間を指定する必要がありますが、開始日と終了日を指示する必要があるためです。

実行時の曜日判定

実行時の曜日が月曜日であれば、入金実績のダウンロードの開始日を本日から3日前、それ以外の曜日(平日)であれば前日に設定するための変数を組みます。

なお、入金実績の終了日に実行時の日時をセットするのであれば、翌日実行時の入金実績と重複する入金情報が生じてしまいます。後述しますが、UiPathのアクティビティを使えば、簡単に重複レコードを削除できます。

②ネットバンキングDL

ネットバンキングから入金情報をダウンロードする工程については、それぞれの画面に応じてUI要素などを使いながら、Web画面を操作していきます。

なお、近年、セキュリティ対策向上のため、パスワードの入力に『ソフトウェアキーボート』を使うことが求められたり、『ワンタイムパスワード』が必要になる場合もありますので、工夫しながらワークフローを組み上げていきます。

また、入金情報をcsvではなく、Web画面上で閲覧する方式をとっている銀行もありますので、場合によっては画面スクレイピングで情報を取得する必要があります。

入金情報のcsv等をダウンロードしたあとは、入力・加工用のExcelに貼り付けます。後の工程で、列の削除・入れ替えを行います。

<入力・加工用Excelの見本>

それぞれの銀行用の加工シートを準備(白紙で可)

ネットバンキングの画面は、当記事に掲載することができませんので、ご了承ください。

③入力File加工

前②の工程で各銀行のインターネットバンキングから入金情報をダウンロードしたあとは、まずは「A銀行加工用」等のシートに貼り付けます。そのシート内で列の削除や入れ替えを行い、その後、それぞれの「A銀行」等のシートに貼り付けます。

「A銀行」等のシートは、これまでのデータが蓄積される運用を想定しているため、貼り付け前に最終行を取得し、新たに貼り付ける行を判定します。

空白の除去

インターネットバンキングからダウンロードした情報(セル単位)には、末尾に空白が含まれていることが多いです。空白が存在したままでは、次の工程の一致確認で正しく判定されない場合がありますので、この工程で空白を除去しておくとよいでしょう。

空白除去の一例(文字列全体から空白除去)

法人格の除去

法人名で銀行振り込みをした際、入金情報には株式会社であれば「カ)」、有限会社であれば「ユ)」など、振込者の情報の頭か末尾に特定の文言・記号が含まれます。

法人格の情報が残ったままになっていると、次の工程の一致確認で正しく判定されない場合がありますので、この工程で除去しておくとよいでしょう。

情報の記録上、インターネットバンキングからダウンロードした情報は、極力加工しないほうが好ましいこともありますので、この工程での加工(除去)は避け、次工程でシステムに貼り付ける際に除去するという考え方もあります。

重複した入金情報の削除

インターネットバンキングから下記の条件で入金情報をダウンロードすると仮定します。

  • 実行日時
    6月7日(火)AM10:00
  • 期間の開始日
    6月6日(月)00:00
  • 期間の終了日
    6月7日(火)AM10:00

翌日も同じ条件で入金情報をダウンロードすると、6月7日(火)の00:00-10:00の情報が再度含まれてしまい、重複レコードが発生することになります。

このような条件設定をしている場合には、Excel上の重複レコードを削除する必要がありますので、UiPathのアクティビティを使って重複削除の処理を組み入れます。

アクティビティ:重複行を削除

④入金消込

インターネットバンキングからの入金情報を処理用に加工したあとは、いよいよ会社の請求システムと照合し、入金消込を実行する工程です。

それぞれのシステムに応じてUI要素などを使いながら、入金情報のキー情報(振込者等)を使って検索しながら、設定した条件に基づき消込をしていきます。

消込の条件

入金消込業務をRPA化するうえで、コアになる工程です。この工程の条件次第で、RPAの効率性・正確性が左右されると考えてください。

楽観視し過ぎも心配し過ぎもよくないのですが、ポイントは下記の通りです。

従来の人間の作業の精度に合わせること

RPA化を進めていくと、氏名情報と金額が一致しただけで本当に消込をしてよいのか。

と疑問に感じることもあるでしょう。ただし、冷静に考えれば、入金情報には個人を完全に特定する情報は、通常含まれていませんので、人間が消込作業をする場合でも、氏名情報と金額の一致で消込をしているはずです。

このように、従来の人間の作業の(実績ある)精度に合わせることを根拠として、RPA化は進んでいくのです。

当然、従来の作業に潜んでいるリスクに気付くこともあります。適宜、判断しながらRPAを進めていきます。

人間の確認作業

入金消込の業務には、様々な事例があるでしょう。

請求者と振込者の氏名が異なるケースや、氏名のみ一致し金額が微妙に異なるケース。氏名がまったくヒットしないケース(二重振込の可能性あり)。

その他、督促期限が超過して延滞金が発生するケースも想定されます。

それぞれの事例の判断ポイントをRPAにしっかりと組み入れて、何度も検証しながらRPAを完成させます。

なお、最終的に消込の判断を人間がする必要があるケースについては、入金・加工用のExcelシートに特定の文言を出力するようにRPAを組んでいれば、人間が確認作業をする際、確認のポイントが明確になるため、効率的に確認することができるようになります。

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この記事を書いた人

RPAの国内の黎明期よりユーザー部門・研修講師・エンジニアとして携わっている。
その他、webs-studio.jpをメインに、複数のブログサイトを立ち上げており、合計で月間10万PVのメディア運営を行っている。



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