世の中には、テクノロジーの進化、時代の変化によって、次々と新たな職業が生まれていきます。2017年頃から国内でも耳にする機会が多くなったRPA。
そして、RPAを活用して業務自動化のプログラムを作る職業のことを「RPAエンジニア」と呼んだりします。
RPAエンジニアとは、どのような職業なのか。未経験者でもなれるのか。
そしてRPAエンジニアに、将来性はあるのか。
この記事で書いてみます。
RPAエンジニアとは
この章では、RPAエンジニアとは、について紹介します。
RPAを活用するための総合的なスキル保有者
RPAエンジニアとは明確な定義はされていないものの、RPAを活用した業務自動化全般のスキルを持ち合わせた人材のことを指します。具体的には下記の通りです。
RPAエンジニア
RPAの特性を理解し、業務選定のアドバイスから自動化に向けた業務手順の整理・再構築、自動化プログラムの開発と保守運用のスキルを持った人材
求められるスキル
RPAを活用するためには、最低限のプログラミング知識が絶対的に必要です。プログラミング知識がまったく無いRPAエンジニアは存在しないと考えてください。
RPAエンジニアには、プログラミング知識に加え、業務の手順を見直し、再構築できるスキルが必要です。私見ですが、このスキルが高ければ高いほど、レベルの高いRPAエンジニアになれます。
長年、引き継がれてきた業務であっても改善の余地は多くあります。このような業務手順の中から、「この箇所は効率が悪い」や「この工程は省略しよう」など、積極的に効率化に携わったご経験のある方は、RPAエンジニアで活躍できる可能性が高くなります。
もちろん、業務手順を変更するうえでの部門調整スキルも含めてです。
業務の年数や規模、関連部署が多ければ多いほど、部門調整は難しくなります。どの会社でも、全体最適化の視点を持ち合わせておらず、否定的な意見ばかりする社員はいるものです。
私事になりますが、わたしは当サイトを含めてプログラミング関連のメディアサイトも運営していますが、元々は生粋の事務職担当です。人事・給与関連の大量の事務(数十万件)をこなす現場で、VBAの活用や文句ばかり言う部門との業務調整を積極的に行っていました。
その経験上、業務の効率化とRPA(プログラミング)の両方の視点から「業務」を捉えることができています。
重要:RPAエンジニアの正体
この章では、RPAエンジニアの正体というテーマで本質的なお話をします。とても重要な内容で、この記事で最もお伝えしたいことです。
プログラマー
当サイトでは、くり返し述べていますが、RPAはプログラミングの知識が必要です。
ましてや、この記事のテーマ「RPAエンジニア」のように、RPAを専門職として捉えるのであれば、「RPAエンジニア」は一種のプログラマーです。実際のプログラマーは、Web分野・ゲーム分野・データ分析・アプリ分野と多岐に渡りますが、「RPAエンジニア」は事務作業特化型です。
RPAエンジニアは、事務作業特化型のプログラマー
事実、Excelのマクロ(VBA)を活用したご経験のある方は、RPAと非常に相性が良いです。
一般に、エンジニアとプログラマーでは職種が異なりますが、当記事では「コードを書く人」をプログラマーとして定義します。(RPAではコードを書く代わりにブロックを構築しますが、思考的には同一です)
プログラミング的思考が必須
「プログラミング的思考」は、プログラマーにとって最低限の要素です。
プログラミング的思考
プログラミングをするうえでの根幹になる思考のことです。物事や事象をロジカルに考える思考。プログラミングとは、単純に英語をキーボードで入力する作業ではないのです。
RPAエンジニアは、事務作業特化型のプログラマーなので、前章の事務職寄りの経験・スキルに加えて、「プログラミング的思考」が必須です。
要は、目指すものが「プログラマー」であれ、「RPAエンジニア」であれ、プログラミング的思考は最低限習得しなければならないものであり、習得できなければ、どちらの職業にも就けないのです。(プログラミングレベルで例えると、RPAは「初歩」です)
より正確なイメージは下記です。プログラミングはRPAを完全に内包します。
RPAエンジニアの将来性
この章でRPAエンジニアの将来性について私見を述べます。
RPAは有期的
先日、下記の記事を投稿しました。
記事を要約すると、RPAは短絡的なブームという意味合いでは終わったのかもしれないが、本質を理解し正しいITリテラシーを持った企業は活用を続ける旨、説明していますが、長期の視点でいえばRPAは有期的と思います。
事務作業そのものが形を変える、またはITリテラシーが底上げされ、プログラミングが当たり前のスキルになるとき、RPAはその役目を終えるでしょう。
わたしは、決して、遠い将来とは思いません。メタバースやAIが叫ばれる中、20年後も現在の人数でパソコンを使った事務作業が行われていると思いますか?
限定職としての限界
RPAエンジニアは、あくまでも「RPAを活用するエンジニア」です。
理屈上、たとえば社内で各自動化候補の業務のRPA化が完成したとき、「RPAエンジニア」としての役割も終わってしまいます。保守・運営の役割は残っていても、専属として長年同じ役割で雇用されることは期待できないでしょう。
かといって、外部委託の「RPAエンジニア」という職業は、現在のRPAの普及率から考えても、需要は少ないと言わざるを得ません。
RPAエンジニアの将来性
以上のことから、わたしは「RPAエンジニア」の将来性は低いと確信しています。(それも、「かなり」です)
RPAエンジニアを目指し、RPAエンジニアに希望を持っていた方は、この記事を読んでがっかりしたかもしれません。
そうではありません。見方を変えましょう。
わたしは、「RPAはプログラミング的思考が必要なのだから、わざわざ限定的かつ有期的な職業を選ぶよりも、プログラミングを勉強して、プログラマーを目指せ」と言いたいのです。
メタバース・AI・ブロックチェーン。これらに限らず、新しいテクノロジーには、プログラミングが必須です。いかに変化の多い時代とはいえ、プログラマーの需要が減ることは、当面無いでしょう。
入口は、RPAでも構いません。RPAに関心があるのなら、プログラマーの道も意識したほうが圧倒的に将来が明るくなります。
「プログラマーって言われても、何をするのかイメージができない」。違うんです。やってみないと分からないんです。
未経験者でもなれるか
未経験者でも「RPAエンジニア」になれるか。
この類の質問は難しいのですが、わたしの見解で回答するなら、プログラミングの資質があるかどうかにかかっています。
もし未経験でRPAにご関心があるのなら、今すぐ挑戦してみてください。ご自分で適正が分からなければ、まずはやってみることです。
あとがき
以上、「RPAエンジニアとは」や「RPAエンジニアの将来性」について書きました。
一方で、「RPAエンジニアの将来は高い」などという記事も世の中には多くありますので、どっちを信じればよいのか迷ってしまっている方もいるでしょう。
最後に、RPAエンジニアを職業にしたいと考えていた若者にアドバイスを送ります。
RPAに限らず、世の中は「大衆向け」の情報がまん延しています。
よく見かける大衆向け情報
- RPAはプログラミングの知識が不要だ
- DXとはデジタルを活用することだ
- マイクラはプログラミング学習に効果的だ
このような大衆向けの情報に乱されない最も効果的な方法。それは、ご自身に本質を見抜く力を身に付けることです。
特に、テクノロジー関連の情報は常に収集するようにしてください。そして、実際にご自分の手を使って、出来ることをやってみてください。やれば、本質も分かります。