サーマルスロットリングとは?CPUやSSDの発熱を制御する機能

パソコンは非常に精密な機械のため、いかなるパソコンも熱に弱いです。

サーバーのような少数かつ特に重要な常時稼働の機器であれば、温度調節をしたサーバールームで管理することが一般的ですが、組織であれプライベートであれ、個人用のパソコンの場合、基本的には単体で対処する必要があります。

サーバールーム

パソコンの内部でも特に熱を持ちやすく稼働率が高い「CPU」と「SSD」には、熱の上昇によって故障したり、発火する事態にならないよう、発熱を抑制する機能が搭載されています。

この機能のことを、サーマルスロットリングといいます。

この記事では、サーマルスロットリングに関する基本的な概要と、一部ユーザー側で設定が可能な項目について説明します。

目次

サーマルスロットリングとは

冒頭で少し触れましたが、CPUとSSDには、発熱を抑制するサーマルスロットリングという機能が搭載されています。

CPUでも、SSDでもサーマルスロットリングの働きは一緒で、それぞれに過剰な負荷がかかり、ある一定の温度を超過すると、パフォーマンスを低下させ、これ以上、熱が上昇しないように制御をします。

これは熱による故障や、発火を防止するための安全機能です。

一般に、ユーザー側は、サーマルスロットリングが働くとパソコンが重くなったと感じます。

もしかしたらご経験があるかもしれませんが、スマホで動画を見続けたり、カメラを長時間使用していると、機能がシャットダウンしてしまうことがありますが、それもスマホでサーマルスロットリングが働いているのです。

CPUの場合

CPUはパソコンのコアな部品のひとつであり、パソコンを使っている間は、最も稼働率が高い部品でもあります。

IntelでもAMDでも、製品ごとに「最大温度」という名目で仕様が決められており、基本には90度~100度で設定されていることが多いようです。(最大温度はCPUの型番で調べることができます)

CPUのサーマルスロットリングが働くと、演算処理を低下、つまりパソコンの動作全体が重くなり、それでも熱を制御できない状態になれば、パソコンを自動的にシャットダウンします。

SSDの場合

SSDの場合、基本的には70度を超えたあたりからサーマルスロットリングが働くようになっています。

SSDのサーマルスロットリングが働くと、読み書きの速度が遅くなります。SSDは、あくまでもストレージのため、CPUのように直接的にパソコンをシャットダウンすることはできませんが、限界温度を超えると、パソコンの別の機能が働きシャットダウンされるのかもしれません。

CPUとSSDの負荷状態の可視

以前、当サイトで記事を投稿しましたが、Windowsの「タスクマネージャー」という機能を使えば、CPUとSSDの負荷状態を確認することができます。

ご関心があれば、ご参照ください。

UEFIによるCPUパフォーマンスレベルの調整

マザーボードに組み込まれているUEFI(BIOS)の一部では、CPUのパフォーマンスレベルを調整できる場合があります。

Intelの場合は、「Intel Turbo Boost Technology」という名称で、温度が許容範囲内の場合に限り、より高いパフォーマンスを発揮するような機能がデフォルトで有効になっています。

もちろん、高いパフォーマンスには発熱のリスクが伴いますので、「UEFIファームウェアの設定」でこの機能を無効化することも可能です(Windowsの設定では変更できません。あくまでもUEFIの設定です。)

余程のことがない限り、UEFIの設定は変更しないと思いますが、参考程度に当記事で紹介しています。

Intel Core7 10thGen
拡大図:デフォルト値は有効(Enabled)
目次