社内で共有して使うことが多いExcelは、シート内の情報を誤って更新されないような対策も重要です。
特に数式が使われている箇所は、いつの間にか参照先・範囲が変更されてしまっても明確なエラーに発展しなければ、中々、気付けるものではありません。
誤った数式のままExcelのデータを使ってしまうと、業務・経営状況の分析や報告内容などにも影響が生じてしまう可能性すらあります。
Excelでは、セルやシート毎に利用者の編集権限をロックして、情報を保護する機能があります。
両方を組み合わせれば、特定のセルの編集だけをロックしたり、逆にシートの中の一部のセルだけ編集を可能にすることもできます。
この記事では、それらの方法を紹介します。セルやシートの編集を適切に管理して、情報の信頼性を向上させましょう。
Excelの編集ロックの概要と詳細設定
この章では、Excelの編集ロックの概要と詳細項目の内容について説明します。
編集ロックの概要
冒頭で、セル単位で編集をロックしたり解除することが可能と説明しましたが、正確にはExcelの編集ロックは、シート全体が対象です。
セル単体の設定のみでロックすることはできません。すべてのセルはデフォルトでロックが有効になっています。
デフォルトはロックが有効 個別のセルをロックする場合には、それ以外のすべてのセルのロックを解除する。個別のセルのロックを解除する場合には、そのセルだけロックを解除する。といった設定をしたうえで、シート全体にロックをかける訳です。
これはイメージ図で説明したほうが分かりやすいでしょう。
編集ロックのイメージ
デフォルト設定
すべてのセルのデフォルト値はロックが有効 シートをロックするとすべてのセルがロックされる 個別セルのみロックをする場合
個別のセル以外のロックをすべて解除する
セルC3のみロックが有効な状態 シートをロックした際、そのセルのみロックが有効になる 個別セルのロックを解除する場合
個別のセルのみロックを解除する
セルC3のみロックが解除された状態 シートをロックした際、そのセルのみロックが解除されている シート全体にロックを実施したあと、個別のセルのロック設定を変更したい場合には、一旦、シート全体のロックを解除する必要があります。
ロックの詳細設定
Excelシートの編集ロックは、書式設定や行列の挿入・削除、並べ替えなどアクション毎に制限することができます。デフォルトで許可されているのは、ロックされた(されていない)セルの範囲を選択するアクションのみです。
詳細設定により、セルの編集は制限するものの書式の変更は許可する、といったロック方法も実現できます。
ロックの詳細(設定項目) 詳細設定はセル単位でできる訳ではありません。シート単位です。
セル・シートの編集ロックの設定方法
前章で説明した通り、Excelの編集ロックは個別のセルに対するロック設定を変更する手順となります。
今回の記事では、下記のイメージ図のC列2行目から7行目の編集ロックを解除し、その他のすべてのセルに編集ロックをする手順を紹介します。
C列2行目から10行目の範囲のみ、編集可能にしたい セルの編集ロック設定
①セルの編集ロックを解除したい範囲を選択 ②右クリック後、セルの書式設定をクリック ③保護タブをクリック ④この箇所がセルの編集ロックの設定項目
デフォルトではすべてのセルにチェックがされている ⑤ロックのチェックを外して、OKボタンをクリック ⑥選択範囲の編集ロックが解除された 以上でセルの編集ロックの解除設定は完了です。ただし、これまでに説明したように最終的にはシートの編集ロックを実行しないと、この設定だけでは何の効果もありません。
シートの編集ロック設定
⑦校閲タブからシートの保護アイコンをクリック ⑧必要に応じて許可項目にチェックをしてOKボタンをクリック
上2つはデフォルトでチェックされている ⑧のイメージ図の工程では、シートの保護を解除するパスワードを設定することができます。未設定の場合、誰でもシートの保護アイコンをクリックすることで編集ロックを解除することができますが、個人的には編集ロックは誤った更新を防ぐための手立てであり、パスワードの設定は不要と思います。(意図的な改ざんを防ぐ場合のみパスワードを設定)
⑨シート全体のそれぞれのセルの編集ロック設定が有効になった ⑩編集ロックを解除していないセルに入力を試みた場合
このようなアラートが表示され、編集ができない 以上、個別のセルの編集ロック設定が有効になりました。この記事のサンプルでは、C列2行目から10行目のみ編集(入力)することができます。