2020年から2021年にかけて国内で猛威を振るった「新型コロナウィルス」によって、認知・浸透し始めたテレワーク。
テレワークは、実態的に「コロナ対策のひとつ」として存在しているかのように映っているのかもしれませんが、その概念はずっと以前から存在し、実際に一部の企業で実施されてきました。
※起源は70年代のアメリカといわれています。
国内で一般的な企業に認知されるきっかけになったのは、2019年に施行された「働き方改革」でしょう。完全な「終わり」がいつになるのかは分かりませんが、コロナの収束とともにテレワークへの取り組みにも終止符を打ってよい訳ではありません。
テレワークの意義を理解していただくために。
この記事では、コロナ対策としてではなく、新しい働き方としてのテレワークについて、その定義と始め方を政府発表の資料に基づいて紹介します。
はじめに
働き方改革やテレワークのように、政府主導で発表された施策については、政府発表の資料をお読みになることを強くおススメします。新しい施策が公表されたときには、必ず新しい商材・サービスも生まれます。
そして、事実として、本来の意義とは異なる商材・サービスも多く発生します。
DXにおいても、単なるITサービスを「社内のDX推進サービス!」として売り出している商材・サービスしかりです。
その施策の「本質」は、きちんと理解しておきましょう。
当記事の参考資料
当記事は、主に厚生労働省発表の「テレワークで始める働き方改革(テレワークの導入・運用ガイドブック)」を基に、当サイト運営者の私見を加えて作成しています。
その資料を選択した理由は、冒頭に書いたように、政府がテレワークを大々的に推進したのは「働き方改革」がきっかけであり、当時の資料がその真意に最も近いと考えたためです。
テレワークとは?
テレワーク関係府省
国内において、テレワークは下記の関係府省を中心として、普及推進されています。
総務省
とりまとめ
ICT活用による社会変革実現
厚生労働省
多様な働き方の実現
経済産業省
企業価値向上
国土交通省
都市群への過度の
集中解消と
地域活性化
参考~政府の取り組み
上記のうち「経済産業省」は2018年にかの有名な「DXレポート」を発表した省庁ですね。簡単にいうと日本のIT力を高め、国際競争力を高める施策のひとつにテレワークも含まれている、と解釈してもよいと思います。
さらにテレワークの普及促進には、国土交通省も関係している点は興味深いところではないでしょうか。
つまり、テレワークは、様々な観点から日本に有益という理論のうえで進められているのです。
テレワークの定義
テレワークとは
ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方
と定義されています。
テレワークの形態
テレワークは、「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」の3つのテレワーク形態の総称です。
在宅勤務
モバイルワーク
サテライト
オフィス勤務
在宅勤務
テレワークのうち、最も認知されている形態と思われる自宅を就業場所とする働き方です。会社に出勤する必要がありませんので、通勤時間が発生せず、時間を有効に活用することができます。また、会社としても通勤費の負担が軽減される他、在宅勤務の定着率が高まれば、オフィスコストの軽減も実現できる可能性があります。
モバイルワーク
前記の在宅勤務とは異なり、移動中や顧客先を一時的な就業場所とする働き方です。スマホやタブレット、ノート型パソコンといった小型の情報端末を活用することを主旨としています。
移動時間の有効活用や、出先からわざわざ会社に戻る必要がない、といった具体的効果も示されています。
サテライトオフィス(施設利用型)勤務
会社以外の遠隔勤務用の施設を就業場所とする働き方です。例えば、所属する部署以外のより自宅に近いオフィスの一画をテレワーク専用のスペースにしたり、遊休施設や空き家などを活用することも事例として示されています。
より低コストのサテライトオフィスを構築することで、全体的にオフィスコストを軽減できる可能性があるとされています。
一般的なテレワークの導入とは、上記の「在宅勤務」が主流になるかと思います。モバイルワークについては、以前から広く行われており、もう一方のサテライトオフィスに関しては初期投資が必要なケースが多く、現状のテレワークの普及から考えても、時期尚早といった感があり、「在宅勤務」に優先する根拠が現時点で弱いためです。
本質的な狙い?(ワーク・ライフ・バランス)
テレワークを含む働き方改革では、「ワーク・ライフ・バランス」というフレーズが頻繁に出てきます。
これは文字通り、仕事(ワーク)とライフ(生活)のバランスを保つことを目的とした施策で、長時間労働や仕事の割合が極端に大きくなってしまうことをネガティブに捉える考え方ですが、テレワークはワーク・ライフ・バランスを向上させる高い効果があります。
政府の狙い
ここは当サイトの見解です。テレワークを含む『働き方改革』には、「会社依存からの脱却」という目的もあるように感じます。2019年の『働き方改革』、その前年には経済産業省の危機感の表れともいえる『DXレポート』。立て続けに成立・発表されたこれらの内容は本質的には共通しています。
国際競争力の低迷と確実に到来する高齢化社会。詳細は後日公開する「DX」関連の記事で説明しますが、政府の狙いは下記にもあると考えています。
企業に対する狙い
テレワークを実現するためには、業務のデジタル化が必須です。紙からデータへ、そしてICTの活用力。テレワークを推進することによって、必然的に企業のデジタル化も推進されるのです。
企業の成長。
ここも政府のひとつの狙いと考えられます。
働き手に対する狙い
テレワーク同様、働き方改革で推進された「副業の解禁」「長時間労働の是正」。おそらく、働き手の一企業に対する依存性から脱却する狙いもあるのでしょう。現代は、企業の栄枯盛衰が過去の何十倍~何百倍のスピードで進む時代です。
GAFAに代表されるユニコーン企業が日本の既存産業を瞬く間に破壊したように、これからの会社には「安泰」「終身雇用」はありません。
つまり、一社のみに依存することは大きなリスクを背負うことになるのです。
「副業の解禁」「長時間労働の是正」、そしてプライベートな時間を確保できる「テレワーク」。これらの施策からは、働き手の自立を期待しているように思えます。
テレワークのメリット
ここでは、 厚生労働省発表の「テレワークで始める働き方改革(テレワークの導入・運用ガイドブック)」 に掲載されているテレワークのメリットから、部分抜粋して紹介します。
テレワークは、従業員にとってメリットがある施策と考えている方が多いかと思いますが、実際は企業側にもメリットはあるのです。
下記の企業側の各項目は納得性の高い内容ではないでしょうか。
企業
- 優秀な人材の確保や雇用継続につながった
- 資料の電子化や業務改善の機会となった
- 通勤費やオフィス維持費を削減できた
- 非常時でも事業を継続でき、早期復旧もしやすかった
- 企業のブランドやイメージを向上させることができた
従業員
- 家族と過ごす時間や趣味の時間が増えた
- 集中力が増して、仕事の効率が良くなった
- 仕事の満足度が上がり、仕事に対する意欲が増した
テレワークの始め方(当サイト記載)
前章までは、 厚生労働省発表の「テレワークで始める働き方改革(テレワークの導入・運用ガイドブック)」 を基に紹介しましたが、本章「テレワークの始め方」は、当サイトの見解により記事を作成しています。
厚生労働省の資料には、テレワークの技術的方式毎により詳しい解説がされていますので、必要に応じてご参照いただければと思います。
数十人規模のテレワーク実例
ここでは、わたしが実際に見学した中小企業のテレワークの実例を紹介します。いずれも従業員数十人の小規模なオフィスです。企業規模や取り扱っている機密情報の重要性によって、求められる構成は異なってきますので、ご理解ください。
テレワークの方式には、VPNなど様々な方法がありますが、それらは別記事で紹介したいと思います。
構成例1
ノートPC
クラウド
ストレージ
構成例2
ノートPC
クラウド
ストレージ
NAS
あとがき
今回は、 厚生労働省発表の「テレワークで始める働き方改革(テレワークの導入・運用ガイドブック)」を基に、テレワークの基本的な内容を紹介しました。
実際の資料では、企業のテレワーク導入に向けた詳細なガイドが紹介されていますので、実際にテレワークを導入する際にはぜひご参照ください。
総務省が発表した「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」もおススメです。