WinActorからUiPathへの移行が増加傾向に│RPA情報発信局

この2年程の間に、わたくしが知る限りでもWinActorからUiPath移行する企業が多く見受けられます。

国内でRPA流行が始まった2017年から4年が経過し、それなりに情報が出揃った今、RPAを導入した企業側にとってもインターネット情報などで比較がし易くなったことも一因でしょう。

この記事では、RPAのサービス提供者側から見たWinActorUiPathについて、説明します。

目次

WinActorとUiPath

WinActorUiPathは、知名度・導入社数から見ても「国内2大RPA」といえるほどのソフトウェアです。記事執筆時点で、国内シェアNo1はWinActorといわれていますが、No1になった背景とソフトウェアが持つ実力などについて、説明します。

わたくしは、2017年よりユーザー部門・研修講師・エンジニアとしてRPAに関わってきました。この記事は私感になりますが、個人的な好みや地域・業種特性などの要因は排除しているつもりです。

WinActor

国内シェアNo1の背景

WinActorは、国内でRPAが流行し始めた2017年以降、国内シェアではNo1を維持しています。その背景として、当時、ライバル的なRPAソフトウェアの存在がなく、また「国内産」RPAソフトウェアという利点を活かし、うまく世間にPRできたことがシェアNo1の最も大きな要因でしょう。

※WinActorの開発元はNTTグループの「NTTアドバンステクノロジ」です。

また、ユーザーインターフェース(画面構成)や操作感について、初心者でも操作し易いことから、「簡単に自動化ができる」「プログラムの知識は必要ない」というPRも功を奏したものと思います。

確かに、WinActorUiPathと比較すると、初心者でも扱いやすいRPAソフトウェアです。実際にフローを組み立てる画面も大きなパーツをドラッグアンドドロップで配置する感覚で、それぞれのパーツには日本語の説明が表示されています。

WinActorの画面

WinActorの欠点

WinActor欠点は、他のRPAソフトウェアと比較すると「動作が遅い」、「価格が高い」が代表的で、後述するUiPathと比較すると、性能的にも見劣りします。

さらに、2021年3月にMicrosoftが発表したRPA「Power Automate Desktop」無料提供化により、ますます優位性は失われ、今後の動向が注目されます。

WinActorが向いている企業

これが意外に狭く、「企業規模はそこそこ大きく、RPAを活用した業務自動化を社内で開発するが、ITリテラシーの高い社員はおらず、中級程度の社員ならいる。」がターゲットになるかと思います。

理由として、WinActorは、基本となる年間ライセンス費は90万円を超えます。そのため必然的に、毎年、90万円を超えるライセンス費を支払える企業規模、かつ、UiPathは無理でもWinActorなら社内だけで何とか活用できる企業となってしまうのです。

例えば、業務自動化を外部委託するのであれば、自社の社員で開発する必要はありません。WinActorが持つ「簡単さ」はメリットになりませんので、WinActorを選択するメリットそのものが無くなってしまうのです。

また、Microsoft無料のRPA「Power Automate Desktop」も充分な性能を持っていることから、WinActorは、かなりニッチな市場になることが予想されます。

UiPath

国内屈指の性能を誇るRPA

ある調査によると、UiPathは世界シェア、国内売上シェア(ITR)、顧客満足度(MM総研)ともにNo1とされており、事実として、世界的に見ても急速な成長をしている高評価のソフトウェア企業です。

UiPathの開発元は元々ルーマニアで設立された「UiPath社」です。

2017年時点では、UiPathの日本法人が設立されたばかりで、ソフトウェア自体の日本語対応が不十分であったことも起因し、WinActorに遅れを取りましたが、日本語対応が進むにつれ、本来のソフトウェアの持つ性能・実力が認められ、今では多くの名だたる大企業でも活用されています。

第一の優位性として、具体的な費用をお伝えすることはできませんが、年間ライセンス費が、相場と比べかなり安いです。性能から見て、驚異的な金額といえるでしょう。

また、実行速度はかなり速く、プログラミング的な要素も残っているため、中級以上のユーザーにとっては、カスタマイズ性が抜群によいのです。その他、Web画面などから情報を取得する際の性能も圧倒的です。

いかにも、内部的に高度なプログラミングで組まれたRPAツールといった印象です。

UiPathの取り組みとしては、日本市場を重視しており、また次世代技術革新「AI」との融合にも積極的に取り組んでいるため、将来的に最も有望なRPAソフトウェアのひとつでしょう。現在、UiPathは本社をニューヨークに置いていますので、世界レベルの進化スピード、技術力が期待できます。

UiPathの画面

UiPathの欠点

UiPathの欠点をあえて挙げるとするならば、「使いこなすには、中級以上のスキルが求められる」ことでしょう。それ以外で、WinActorに劣る点は見当たりません。

「どの程度のスキルが求められるのか」という疑問を抱く方も多いと思いますが、正直、結構なスキルが求められます。具体的には下記の通りで、WinActor以上にプログラミングの資質が求められます。

  • 全ての変数について、「型」を意識する必要がある
    (文字列型か数値型か日付型か、など)
  • ワークフローを構成する各パーツに、一部、プログラミングの構文を記述する必要がある

<見本>

すべての変数に型を設定する必要があります。(文字列型・数値型・日付型など)

変数画面

部分的に、プログラム構文を記述する場合があります。

アクティビティのプロパティ画面

これらは、あくまで初心者にとって難しいという説明であり、中級者以上にとっては、カスタマイズ性が高く、スピードも速いというメリットになります。

UiPathが向いている企業

UiPathが向いている企業は広いと感じます。費用的にもWinActorを圧倒していることと、「業務自動化を社外に委託する」のであれば、難易度はデメリットになりません。

また、Excel(エクセル)のVBA程度のプログラミング知識があれば、社内でも活用できる可能性があります。

(社内で事務処理が多いのであれば)小規模事業主から大企業までターゲットであり、国内のRPAソフトウェアでは多くの企業にとって筆頭候補のひとつでしょう。

総論

RPAはプログラミング知識が求められる

まず前提として、RPAは「プログラミング知識が不要」といったPR文言は、鵜吞みにしてはいけません。なぜなら、「RPAを導入さえすれば、簡単に自動化ができる」という誤解を与えるからです。

これまで、Excel(エクセル)のVBAを含め、プログラミングの知識が全くなくRPAに取り組んだことのある方は、ほぼ100%同意すると思いますが、RPAの操作のみを覚えても、まず自動化は実現できません

RPAには、業務から人間の判断により行われている曖昧さを完全に排除することはもちろん、詳細かつ正確にフロー化し、正しい条件分岐・繰り返しの条件を設定する必要があります。

このスキルは、プログラミング知識そのものなのです。違いは、プログラミング言語の知識が不要というだけです。

難易度の差

前節の趣旨は、いかに操作が初心者向けのWinActorであっても、プログラミング知識がなく、または学ばずに、自動化できるものではない、ということです。

未経験者がWinActor等のRPAを使って、業務の自動化に成功した例はありますが、あくまでもRPAを通じてプログラミング知識も身に付けたというのが正しい解釈でしょう。

ドラッグアンドドロップや一部の操作のレコーディングのみで、自動化が実現できるほど、世界のITは進んでいないのです。(現段階のAIでも無理)

前述の通り、UiPathは、変数の型や一部のプログラミング構文の記述など、WinActorよりも難易度は高くなりますが、プログラミング知識という点では、実は差は大きくないのです。

速度の差

WinActorUiPath、それぞれの節でスピード感を説明しましたが、圧倒的にUiPathが速いです。

わたくしは現場で、WinActorからUiPathへの移行を何度か対応した経験があるのですが、WinActorで6分かかる業務がUiPathでは3分を切った事例もあります。事実として、それほどの差があります。

注意点として、UiPathはカスタマイズ性に優れたソフトウェアですが、実はデフォルトの設定のままでは、それほどのスピートの差はありません。

高速化のチューニングを正しく行うことが前提です。

一般に、RPAの処理速度にパソコンが追いつけなければエラーになりますので、デフォルト設定では安全な待機時間が設定されています。例えば、Excel(エクセル)が開ききる前にシートに対する処理が実行されると、「処理対象のシートがありません」というエラーになるのです。

基本的にRPAは、実行中、そのパソコンを専有してしまいますので、処理のスピードが速いことは大きなメリットとなります。

WinActor・UiPath比較表

項目WinActorUiPath
費用
初心者向け
性能
速度
プログラム知識必要必要
プログラム言語知識不要一部、必要
トライアル版
(無料体験)
ありあり

導入に向けて

今回の記事で紹介したWinActor・UiPathは、どちらもトライアル版が準備されており、30日間~60日間程度、無料で使用することができます。

本格的な導入やWinActorからUiPathへの移行を考えているのであれば、トライアル制度を使って、自社に合ったRPAを検証してみましょう。

なお、RPAは、社内で進めようとしてもとにかく停滞しがちです。

<停滞する代表的な原因>

  1. 本業が忙しくRPAを触る余裕がない
  2. どの業務を自動化するか決めることができない
  3. 自動化のフローの組み方に詰まってしまう
  4. 業務自体に曖昧さが残っており、社内調整に時間がかかる

上記のような整理が済んでいないままトライアル版を始めてしまうと、あっという間に無料期間は終了してしまいます。

所属部門や会社の理解を得たうえで、少なくとも対象業務の選定・手順の徹底した整理は終えてから、始めましょう。もちろん、それらも含めて外部委託することも有効な選択肢です。

また、Microsoft無料のRPA「Power Automate Desktop」を選定することもよいでしょう。無料にも関わらず、RPAの名に恥じない性能は持っています。

WinActorからUiPathへの移行

この記事のタイトルにもなっているWinActorからUiPathへの移行については、移行ツールのようなものは存在しません。

よって、WinActorで作成したシナリオをもう一度、UiPathで作り直す必要があります。

本格的にUiPathを学習するなら
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この記事を書いた人

RPAの国内の黎明期よりユーザー部門・研修講師・エンジニアとして携わっている。
その他、webs-studio.jpをメインに、6つのブログサイトを立ち上げており、合計で月間数万PVのメディア運営を行っている。



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