当サイトは、現役のRPAエンジニアがRPAに関する情報やRPAツールの実用的な使い方を発信するメディアサイトです。
世の中で、RPAに関連する検索ワードなどから題材を得て、記事を投稿することもあるのですが、その中で気になるキーワードがありましたので、今回の記事で解説したいと思います。
テーマは「RPAは意味ない」というキーワードです。
RPAは本当に意味ないの?
今回のテーマ「RPAは意味ない」について。テーマとして取り上げましたが、本来、日本語としておかしな文脈です。そのように言われてしまう原因などを考えてみます。
日本語としておかしい理由
RPAは、業務自動化を目的としたITツール、つまりひとつの製品です。他の製品で例えればわかり易いのですが
- パソコンは意味ない
- 洗濯機は意味ない
- 車は意味ない
これらの例文も違和感があるのではないでしょうか?
ITツールを含めた製品は、本来、何らかの目的を達成するために存在しており、その目的に沿った製品でなければ意味を持ちません。残業を減らしたい人に対して、ヘアドライヤーを買い与えても無意味なことです。
また、赤ちゃんにパソコンをプレゼントしても意味はありません。
そのように考えると、「RPAは意味ない」という実際にインターネット検索で調べられているキーワードに関しては、何か根本的な問題を抱えているように思えてきます。
「RPAは意味ない」という意見を真面目に解釈すると、RPAを業務自動化・効率化とは全く違う目的で使ってしまったのかと考えてしまいますが、その裏に潜んだ意図を推測し仮説を立てて続けます。
仮説:導入したけど効果がなかった
まずは、「RPAを導入したけど効果がなかった」経験から発生した『RPAは意味ない』について。
これは、RPAの本質であるプログラミング思考を無視し、簡単に扱えると認識して導入に踏み切った事例です。当サイトの過去記事でも解説していますが、RPAは誰でも簡単に業務の自動化が実現できるようなITツールではありません。
あくまでも人が業務手順を分析し、RPAでプログラミング(コード記述ではなくブロックの組み立て)することによって、業務の自動化が可能になります。
このケースの『RPAは意味ない』に関しては、RPAベンダーや研修・販売代理店の「RPAは簡単です。プログラミング知識も不要です。」といった誇大広告を鵜呑みにしてしまい導入に失敗した経験を、あたかもRPAの性能が悪いかのような理論にすり替えられたケースと推測できます。
仮説:導入したけど活用できなかった
わたしは、RPAの導入相談や実導入を何件も手掛けていますが、RPAを活用した業務の自動化は簡単ではありません。
業務自動化によって、効率化を実現できるような規模の業務であれば、ほぼ確実に現行の業務手順を洗い出し、自動化に向けた再定義が必要です。
そして、業務の規模が大きければ大きいほど、関係部署の利害関係も絡んできて、業務の再定義が困難になります。
分かりやすく言えば、業務の自動化をするうえでは、人間の判断箇所を機械的な判断に置き換えることや、自動化の支障になる箇所を排除するなどの再定義を行う必要があります。
その際、その業務に関わっている部署との折り合いがつかず、頓挫してしまうケースが非常に多いのです。
関係部署との調整が困難化する中で、「他の業務を対象にしたほうがよいのでは」等の意見があがり、紆余曲折をくり返した結果、RPAへのモチベーションが低下し、面倒な案件として放置されるケースも多いのです。
そのような中、前節と同じく期待に沿えなかったRPAに対して、「RPAは意味ない」という結論に落ち着いてしまうのです。
仮説:RPAは大したことない
これは風評被害のようなもので、「RPAを導入しても活用できている企業はごく僅か」や「ただのマクロ」といった噂、メディアの情報を受け、「RPAは大した製品ではなさそうだ」と結論づけてしまうケースもあるのだと思います。
なお、「RPAを活用できている企業はごく僅か」という内容については、わたしの経験上、間違いのない事実です。
前節の通り、RPAベンダーや研修・販売代理店の「RPAは簡単です。プログラミング知識も不要です。」といった誇大広告が、このような事態を引き起こす最も大きな原因と考えています。
あとがき〜RPAの本質
当サイトでは何度もくり返し主張していますが、RPAはプログラミング知識が必要なITツールです。
正しい認識を持って、正しい目的のために導入すれば、「意味ない」という意見に落ち着くはずがありません。RPAの本質が掴めなければ、当サイトの下記の記事をご覧いただき、正しい認識を持つことをオススメします。