RPAとは、パソコンの事務作業を自動化するテクノロジーのことです。まだ、知らない方も図解と動画で簡単に理解できます。
早速、動画で人の作業との比較を見てみましょう。
RPAを理解する動画サンプル
3分半の動画でRPAを理解する
RPAとは
業務自動化のテクノロジー
RPAとは、Robotic Process Automationの略で、パソコン上で行う業務を自動化するテクノロジーのことです。
前章で動画をご覧になった方はご理解いただけたかと思うのですが、あらかじめ人が作成したRPAのフロー(シナリオともいいます)を実行することで、フローに忠実にRPAが自動処理します。
つまり、作成するフロー次第で、様々な業務を自動化することができるのです。
ビジュアル化されたプログラミングツール
RPAは、よく「プログラミングの知識がなくても使えます」といったPRがされていますが、正確には「プログラミング言語の知識がなくても使えます」となります。
なぜなら、RPAで自動化のフローを作成するときには、プログラミング思考と同質の「業務手順を順序立てて洗い出す必要」があるからです。
<業務手順の例>
- まず、〇〇に保存しているExcelを開いて
- 処理する件数をカウントして
- △△システムを開いて
- ExcelのB列の値をコピーして
- △△システムの■■の項目にペーストして
- エラーが発生したら、☆☆を確認して
- 入力が終わったらExcelに日付を入力する
- 次の処理へ(なければ終了)
RPAには、上記のように正確に業務手順を洗い出し、反映させて、各々の細かい項目を設定する必要があります。
※例としてExcelファイルを開くのであれば、そのファイルパスなど
このように、作業を細分化して「この場合はこの処理をする」といった条件分岐、「1件作業が終わったら、次の処理へ」といった繰り返しは、まさしくプログラミング的思考そのものです。
最近では、子どもを対象にした優れたプログラミングの「知育教材」「スマホアプリ」も多くみられますが、それらもプログラミング言語を身に付けるものではなく、プログラミング的思考を育てるためのものです。
このことからも、言語を使わないからといってプログラミングは不要、というのは誤っていると言わざるを得ません。
RPAは、プログラミング言語が分からない人でも、ビジュアル化されたプログラミングツールによって、同等の自動化を実現できるツールなのです。
「ツールの使い方さえ分かれば自動化できる」といった考えでRPAを導入すると、やはり失敗する確率が高くなります。
プログラミング的思考とRPAが組み合わさったとき、本来のRPAの性能が引き出されます。
一部、世間で言われている「RPAの幻滅期」とは、上記のような誤解・誤った伝え方が蔓延し、RPAさえ導入すれば自動化ができると捉えられたからに他なりません。その証拠に、国内で知名度が高い企業では、ほぼ100%、RPAが導入され年間数千時間~数万時間の業務削減効果が得られています。
なぜ、必要か
RPAが日本市場に誕生したのは、2017年頃です。以降、右肩上がりで成長を続けてきたのは、いくつかの理由があります。
①労働力人口の減少
日本は、少子高齢化の構造によって、労働力人口はこの先、減少を続けます。みずほ総合研究所のレポートによると、2065年までに労働力人口は4割減少するとされています。
2017年からコロナ以前まで、日本では様々な業界から「人が採用できない」という声が聞かれていました。
②時代の価値観
最近の時代の価値観として「毎日、何時間も会社で残業する」といった風潮は、もはや当たり前ではなくなりました。終身雇用制も崩壊した今、人生の多くの時間を会社に拘束されるのは、デメリットでしかないのです。
③デジタル化への関心
スマホに代表されるデジタルツールによる生活環境の変化。買い物は、Amazon・楽天などのサービスが当たり前のように使われており、直接店舗での決済はPayPay・楽天Payなどの電子決済が使われています。
誰でもデジタル化の波は感じており、少なからず現在の仕事にも影響しているでしょう。中小企業の経営者であっても、「わが社はこのままで大丈夫なのか。デジタル化を推進すべきでないのか。」といった考えは、確実に芽生えています。
日本国内でのRPAは、「①労働力人口の減少」「②時代の価値観」「③デジタル化への関心」などの背景によって、流行したものと思われます。その他、2017年に経済産業省が発表した「DXレポート」、2019年に厚生労働省が発表した「働き方改革」の影響も大きいでしょう。
※本来、DXとRPAはまったくの別物です。
RPAの導入に必要なこと
まずは自動化に向けた準備から(重要)
RPAを導入しようと考えたとき、まずは自動化をする対象の業務を洗い出すことから始めます。
RPAは、手順が決まっている業務を人間より早く、間違えることなく処理することができますが、人間のように判断することはできません。長年、業務を行ってきた担当者の「経験から得た判断力」や「臨機応変さ」は、すべての工程から排除する必要があります。
「誰が何度やっても、必ず同じ結果になる業務手順書」を作成するようなつもりで、個々の業務の手順、判断基準を明確にする必要があります。
人間が担当する業務については、ほとんどの会社は上記のようなレベルで業務が整理されていません。RPA化やデジタル化を意識して初めて、本格的に整理され始めています。
フローチャート化できるか?
RPAの導入を検討されている会社は、必ずといってよいほど「あの業務はRPAで自動化できるのかなぁ」という疑問を抱きます。インターネットを使って、同種の業務のRPA化事例などを調べることもあるかと思いますが、自動化できるかどうかの判断は、下記にかかっています。
その業務は、フローチャート化できますか?
フローチャート化というのは、ここまでで説明した業務手順の正確な洗い出しや「この場合はこの処理をする」といった条件分岐が正確に行われていないとできません。
結論として、それらができていれば、RPAで自動化できる可能性は非常に高いです。
パソコン以外、例えば「紙の書類を見る」などの工程は無いものと想定しています。また、パソコン上であってもPDFで書類を見るなども同様です。
RPAの費用感
日本国内でリリースされているRPAソフトウェアは数多くあり、費用感もそれぞれですが、概ね年額50万円~100万円が相場です。ほとんどのRPAソフトウェアは年間ライセンスという料金体系となっていますので、その金額が毎年発生します。
なお、大企業では複数のRPAを導入したり、RPAを管理する大規模なツールを導入したりで、年額で数百万円~数千万円といった価格帯が相場のようです。
中小企業の場合、例えば年額100万円のRPAの導入を仮定すると、パートの時給1,200円換算で、毎営業日4時間程度の業務削減効果を実現しないと、コストパフォーマンスの観点からは、マイナスになってしまいます。
念のためですが、RPAは、短期的な人件費のみで導入を検討するものではありません。
Microsoftの無料のRPA
2021年3月、RPA業界を震撼させるニュースが発表されました。Microsoftが提供しているRPA「Power Automate Desktop」をWindows10ユーザー向けに無料公開したのです。
これは、国内の既存のRPA勢力図を一変させるほどの衝撃です。
RPAにどう取り組むべきか
この記事では、RPAは販売会社のPR文言とは裏腹に簡単なものではなく、プログラミング知識すら求められるという見解で説明しています。
ただし、現代はすでに定型業務をいつまでも人間が処理する時代ではありません。少子高齢化、5G・IoT・DXといった技術革新の本格的な到来。
企業規模を問わず、デジタル化、ITツールの活用はやはり進めるべきなのです。RPAを導入して、自動化の開発は外部委託しても構わないと思いますが、同時に、自社の社員のITリテラシーは高めておいたほうがよいでしょう。
ITリテラシーの高い社員は、発想そのものが違います。
そして、プログラミング知識に関して、実は習得にそれほど時間がかかるものではありません。Excel(エクセル)が一般化したように、やればできるものなのです。
※何でもそうですが、向き不向きはあります。
文部科学省が打ち出した「Gigaスクール構想」により、現代では小学生がパソコンなどのデジタルツールを学んでいます。ITリテラシーの高い学生さんたちが社会に出るまで、あと十数年。デジタル化を取り入れた会社と遅れを取った会社では、大きく明暗を分けるでしょう。
Power Automate Desktopの紹介
当サイトでも集中的に取り上げている「Power Automate Desktop」は、無料で使えるにも関わらず国内シェアトップクラスのRPAソフトウェアで実現できるような自動化が、実現できてしまいます。
性能的に同等とはいえませんが、充分にRPAを名乗れるほどの性能は持っています。
当サイトで詳細な記事を公開していますので、ご関心があればご覧ください。
あとがき
今回は、RPAとは、というタイトルで記事を執筆しました。
長い記事となりましたが、ここまでお読みいただきありがとうございます。「RPAっていっても簡単には自動化はできないんだな」と残念に思った読者もいるでしょう。
しかし、現在において「プログラミングは人間が組むもの」なのです。逆にいえば、それは人間にしかできない仕事。
RPAの趣旨として、「定型作業はロボットに任せて、人間は人間にしかできない仕事・考える仕事をする」というのがありますが、まさしくその通りで、業務を自動化したり、デジタル化したりというのは人間が考え、取り組まない限りは、永遠に実現しないものなのです。
同様に、数年後の時代を見据えることも人間の仕事。業務とは、人間が考え行動しない限り、進化することはありません。